冬の北海道。例年、2月になると流氷がやってきます。
遠くロシアのアムール川で凍った氷が、オホーツク海を渡ってやってくる「流氷」
「人生で一度は見てみたい」という声をよく聞きます。
私も北海道に移住し15年。初めて見た流氷には壮大さに感激したことを覚えています。
今では毎年みられる「冬の風物詩」となりましたが、やはり毎年楽しみで「流氷が来た」となれば海岸線に足を運びます。

そこで今回は「いつ、どこに行けば流氷が見られるのか」「冬の流氷観光。おすすめの寒さ対策の装備」について、経験談をもとに説明させていただきます。
特に、どのサイトにも情報が少ない「駐車場所が確保されている、実際に流氷に触れることのできる海岸へのアクセス情報」を地元民だから知っている穴場情報として掲載いたしました。どうぞご覧ください。
※2023年1月27日。網走市と斜里町ウトロの海岸線から、流氷がみられるという報道がされています。(気象台からの公式発表は、本日はありませんでした)
※2月2日、流氷が肉眼で見える網「流氷初日」を網走で観測。斜里町ウトロには接岸しました。
※2月9日に紋別で、10日には網走で「流氷接岸初日」が発表されました。流氷、絶賛接岸中です!
流氷を見られるのは、例年2月初旬ごろから
参考にしている「流氷情報」は海上保安庁から
私が一番参考にするサイトは「第一管区海上保安本部 解氷情報センター」です。
毎日更新されるため、このサイトの情報と翌日の風向きなどでおおよその目途が付けられます。
そしてこのサイトでは「氷の密度」まで表示されます。小さな氷塊より、やはり大きな氷塊の方が迫力がありますので、沿岸まで押し寄せている時に訪れているなら、その場所まで足を運びたいですね。
「毎日見られる」わけではありません

残念なことですが、必ず見られるというものでは無いのです。
昨日までびっしりと沿岸を覆っていた流氷が、翌日には風の影響で遠くまで流されていたということもめずらしい話ではありません。
ですので、流氷情報と共に、気象情報などで風向きも気にしておくことも必要になります。
正直、いつ来ていつ居なくなるか、誰にもわからない
「流氷初日」「流氷終日」という言葉があります。
沿岸から海の向こうに白く見える、流氷帯が観測された日が「流氷初日」と言います。
2022年網走での「流氷初日」は1月24日

接岸した日を「流氷接岸初日」と表します。
2022年は2月3日でした。

※この項のデータおよび写真は網走地方気象台ホームページより出典
遠く離れた日を「流氷終日」と表します。
この流氷。自然現象ですので「毎年いつ来て、いつまで見られる」というのは正直誰にもわかりません。
「このあたりに流氷が来ることが多いですよ」というのは、2月初旬から3月初旬となりますが、これも確実なものではありませんのでお許しください。
平均値データがありましたので、掲載しておきます。
北海道沿岸の海氷観測(平年値と極値)統計期間:1991年~2020年
地点 | 流氷 | 流氷接岸初日 | 海明け | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
初日 | 終日 | 期間 | ||||
網走 | 1月22日 | 4月6日 | 75日 | 2月4日 | 3月15日 | 海明け、流氷終日は2021年に観測終了 |
出典:気象庁HP(観測値を網走のデータのみに、改編しています)
どこで流氷がみられるの?触れられるの?→紋別、網走、そして穴場はこちらです
先に述べたように、風向きによってびっしり押し寄せてきている日もあれば、沿岸に遠ざかっている日も。おすすめするのは、沿岸まで流されていても追いかけていく「流氷観光船」に乗る計画を立てておくことでしょうか。
流氷観光船は「紋別」と「網走」から就航
オホーツク海を渡ってくる、流氷。
その雄姿を見るためには、流氷観光船に乗ることが一番確率を高めます。
紋別市で就航している流氷観光船「ガリンコ号」は、何といっても大きなドリルで流氷を砕きながら突き進む迫力感。

出典:オホーツク・ガリンコタワー株式会社 公式HPより
1日1便、羽田空港発着便のみ就航している「オホーツク紋別空港」以外の公共交通手段の無い紋別市です。札幌から車で5時間。旭川から3時間。JR路線も無く、アクセスが非常に困難になりますが…
網走市から就航するのは、流氷観光砕氷船「おーろら」

出典:網走流氷観光砕氷船おーろら 公式HPより
知床連山を背景に、流氷を見られる景観の良さと女満別空港・JR網走駅からのアクセスの良さ、就航数の多さがポイントです。
「どちらの方が、流氷を着られる確率が高い?」と問われると、こればっかりは風まかせですので、何とも申し上げられないのです…
観光列車・流氷物語号に乗って「網走~知床斜里」間の車窓から
JR釧網本線の「流氷物語号」という観光列車が例年1月末頃から2月末頃まで走るようになりました。2023年は2月26日まで毎日運行されます。

昭和に製造された「キハ40」系列車にラッピングが施された、2両編成での運行です。
写真はそのうちの1両である、夏に花咲線を走る「森の恵み号」。

流氷の見える海沿いの駅に長めに止まり、海の見える区間はゆっくり走行するといった観光列車です。
指定席もありますが、自由席車両も連結されています。「当日、流氷が見えるようなら乗ろう」という計画も立てやすいのではないでしょうか。
なお、網走~知床斜里間は普通乗車券が970円。指定席券は別に530円が必要です。

網走駅 | 北浜駅 | 浜小清水駅 | 知床斜里駅 | |
---|---|---|---|---|
1号 | 9:52発 | 10:04着・10:14発 | 10:24発 | 10:42着 |
3号 | 12:45発 | 12:58着・13:08発 | 13:17発 | 13:35着 |
知床斜里駅 | 浜小清水駅 | 北浜駅 | 網走駅 | |
---|---|---|---|---|
2号 | 11:30発 | 11:47着・12:07発 | 12:16発 | 12:30着 |
4号 | 13:48発 | 14:04着・14:24発 | 14:34発 | 14:46着 |
※運転日・時刻は予告なく変更される場合があります。
JR北海道ホームページより抜粋
網走駅を出発するなら「1号と2号・3号と4号で往復乗って帰ってくる」でも楽しめますし、旅行に同伴者が居れば、車で追いかけてきてもらうのもいいですね。
(流氷物語号、大変ゆっくり走るので充分追いつきます)
写真は2021年運行分の「流氷物語号」です。

知床斜里駅を起点にする旅なら、「2号に乗って3号で往復乗って帰ってくる」以外にも、
9:06発(網走行き)→9:34北浜着 北浜駅で流氷物語1号(10:04着)を待って知床斜里まで折り返す
13:48発の流氷物語4号に乗って14:46網走着→15:10発(釧路行き)に乗り知床斜里15:54着で帰ってくることも出来ます。
知床・ウトロの「流氷ウォーク」

流氷や結氷で凍り付いたオホーツク海の上を歩き、時には海の中に入るという異次元の体験「流氷ウォーク」というアクティビティが斜里町の知床・ウトロで行われています。
スゥエットなどの衣類の上から専用の防水ウェットスーツ(ドライスーツ)を着ていますので、暖かいし浮力もあり安全。
凍る海の間にわざと落ちて、浮かんでいられるという体験ができます。
私も1度経験がありますが、わざとであっても氷の海に落ちるというのは勇気がいりました。浮いていることや、氷の海に入っていても寒くないという、何とも不思議な感じが入り混じります。

氷の下に潜ることは出来ませんので、泳いでいるクリオネを見ることは出来ません。悪しからず。
流氷の時期に来られることが出来るなら、ぜひ一度はいかがでしょうか。
流氷ウォークを企画するたくさんの事業所があります。
知床斜里町観光協会のホームページや「流氷ウォーク」で検索ください。
海岸線で、流氷に触れて遊ぶことの出来る場所3選
どの観光雑誌にも載っていない「海岸線で触れて遊べる場所」をお伝えします。
流氷の上に乗って遊んでいるうちに流されてしまい、警察や海上保安庁の救助隊にお世話になるという、一部の非常識な観光客が例年必ず居ます。
観光雑誌が伝えない理由は、おそらくここにあるかと思います。
流氷の上に乗る際は、砂浜に打ち上げられて流される心配のないものを選んでください。(このブログで使っている写真も、安全面には充分留意して撮影しています)
この記事で知られて現地に向かわれても、決して「非常識な観光客」と同じ行動を取らぬよう、充分ご留意いただくよう、注意喚起をさせていただきます。
車で観光の方にもおすすめ出来る、駐車場所に困らないポイント3か所をご案内します。
網走から知床方面に向かう、国道244号線。斜里郡小清水町

小清水町浜小清水。JR「浜小清水」駅が併設された道の駅「はなやか小清水」が見えてきたら、道の駅駐車場の手前から踏切を渡って「フレトイ展望台」近辺に車を止めることで、海岸線へ降りられます。このポイントからは、雄大な知床連山を望めます。
斜里市街地から知床方面に向かう国道334号線。「以久科原生花園」

国道沿いにある「以久科原生花園(いくしな げんせいかえん)」への案内看板通りに。原生花園の駐車場に車を止めて、海岸へ出ることが出来ます。ここからも知床連山をバックにした、素晴らしい景色が広がります。
国後島を望む道道950号「野付風蓮公園線」

流氷が根室海峡に流れると、国後島を望む国道244号線から道道950号線。標津町・別海町にまたがる「野付風蓮公園線」の第2しべつ展望パーキング。国後島を目前に臨むこのパーキングですが、ここからも容易に海岸線に降りられます。

天然記念物のオジロワシ・オオワシも、ごく当たり前のように空を飛び交います。
流氷観光に絶対に準備したい、おすすめの靴や装備はこれです!
外遊びですので「防寒」と「防水」対策には最大限の対策をしたい、ではなく「しなければならない」くらいの位置づけです。
そこで山歩きからワカサギ釣りまで、外の遊びを楽しんできた私のおすすめ道具たちを2つ、紹介いたします。
SOREL(ソレル)のスノーブーツ

動き回るわけでもありませんので、足元の防寒は最大限確保しておきたいもの。
絶対的なおすすめは「SOREL」というメーカーのブーツです。
このビーンブーツ的なスタイル。最近ではいろいろなメーカーから販売されていますが、1962年カナダ発祥のSORELが源流です。いわば「本物」です。
「マイナス40度でも寒くない」とされるのが、最高峰の「カリブー」というブーツ。

寒さは足元から伝わってきます。足元の寒さは、せっかくの外遊びを「ただ辛かった」という思い出にしてしまいかねません。
私も北海道に住むようになって15年。地元の自然ガイドの方から薦められて購入しましたが「冬の外遊びの際は、欠かすことのできない道具」のひとつとなっています。
ソールの部分はゴム、アッパー部は革。内側は脱着可能な綿のインナーで足を包み込みます。

欠点は、その頑丈さから重いこと。
ですが、絶対的な暖かさが保証されますので「妥協なき寒さ対策」を求められる方には間違いなくこの「カリブー」をお勧めします。
普段より厚めの靴下を履くことや、緩すぎない程度で、紐をほどかずに着脱したいところですので
購入の際は、普段履かれている靴より「1センチほど大きめ」を選んでください。

奥側の女性用は、男性より若干明るい色。ファッションとして街で履く方も多い、人気のブーツです。
手袋は「防寒テムレス」

ブーツは高価なものをおすすめしましたが、手袋は一気にリーズナブルなものを。
これは「実用本位」で選んでほしいのです。
おそらく観光で来られる方は、おしゃれな手袋で来られるかと思います。
その手袋で、流氷や雪に触れたりすることで濡れてしまい、一気に防寒性能が落ちてしまいます。
そのため「濡れない、汚れても惜しくない、だけど頑丈」という外遊び用の手袋が1つあるのがおすすめ。
それが、ホームセンターや作業用品店で手に入る「防寒テムレス」なのです。
中綿もあって程よく暖かで、穴が開かない限りは完全防水。かといってスキー手袋のようにかさばらず、とっても柔らか。それでいて2000円でおつりがくるというリーズナブルな製品。

最悪、中が濡れてしまっても裏表をひっくり返して干しておけば、翌日には乾いてくれています。
私は100均の手袋と「防寒テムレス」の二重履きで、スキーにも登山にも出掛けてしまいます。

ちょっと武骨なデザインなのは仕方がないと思ってください。実用本位ですので。あまりにも実用的な色ですので、期間限定で深い緑色もラインアップされるようになりました。
数日の旅行のために、ゴアテックスなどの新素材の高価な手袋までは必要ないかと。
ご購入の際は、夏にも売っている「テムレス」と間違わないようにどうぞ。ボアが付いているのは「防寒テムレス」です。
旅行中でしたら、紋別や網走、斜里、中標津のホームセンターや作業用品店で手に入ります。(ただし、春先は売り切れるくらいの、隠れた人気商品ですので売り切れにご注意を。)
おすすめする旅行ガイドはこちら
流氷観光だけでなく、たくさんの見どころ・食べどころ・泊まりどころのある北海道。
冬の北海道。気象の影響を受けやすい時期ですが、ぜひたくさん欲張って帰っていただきたいと思います。
私も北海道・道東が大好きになって移住しました。たくさんの方が、北海道・道東を大好きになってほしいです。
こちらの記事で、おすすめする旅行ガイド3選をご紹介しております。よろしくお願いいたします。

今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
ふだん私は、北海道が大好きになって移住を意識するようになった方や検討されている方から、実際に移住を始めた方までが有意義に感じてもらえるよう、大阪から北海道に移住し15年の実生活をもとにしたブログ記事を書いています。
詳しい暮らしの概要は都度記事をアップしておりますので、下のリンクから他の記事もどうぞご覧ください。
今後とも北海道移住ブログ「なーしぃのひとりごと」をどうぞよろしくお願いいたします。