雪が溶け、気温もあがり凍結の心配がなくなる頃。
冬タイヤの役割を終える季節を迎えます。
夏タイヤに交換し、冬タイヤを次のシーズンまで倉庫で保管する際に、
ちょっとひと手間を加えることが、その寿命を伸ばすことにつながります。
この値上げの時代ですから、費用のかさむタイヤには少しでも長持ちしてほしいですよね。
今回は北国での生活の知恵を、大阪から北海道に移住して15年。
自動車整備士として勤務経験がある私の実践を、皆さんへお伝えいたします。
※タイヤ交換の作業内容や方法については、こちらの記事をご参照ください。
まずは寿命チェックを。タイヤの側面を見てください
・側面のひび割れは無いですか?
・タイヤが古くなっていませんか?(交換時期の確認を)
側面のひび割れはないですか?
うっすらならともかく、深くなれば最悪裂けます。
このタイヤも横方向にひび割れがありますが、この程度なら大丈夫。
明らかな目安というのが無いので、お伝えするのが難しいですが。
私なら、これはアウトです。あきらめましょう。
というか、危ないので使っちゃダメなレベルです。
タイヤが古くなっていませんか?(交換時期の確認を)
使用開始後5年以上経過したタイヤは、継続して使用できるかタイヤ販売店等で点検を受けましょう。また、外観上では溝がしっかりと残っていても、製造後10年経過したタイヤはゴムの経時劣化が進んでおり、安全面での性能が保証されないため、新しいものに交換することをおすすめします。
国内シェアNo.1のブリヂストンHPより引用
使用開始後5年は、タイヤを買った年を思い出してください。
一般消費者には、いつ製造されたかまでは分かりません。
ですが実は、分かる方法があるのです。
どのタイヤにも、国産タイヤでは側面に4ケタの数字が刻印されており、それを見れば製造年が分かるようになっているのです。
いろいろ数字がありますが…
「下2ケタが、西暦での製造年の下2ケタ」なのです。
写真のタイヤでいうと「2015年製造」となります。
(ちなみに最初の50は「その年の50週目」このタイヤは2020年の12月末製造となります)
ご参照いただき、確認されるといいですね。
接地面のチェックを。ポイントは「溝の深さ」
・残り溝は充分ですか?
・溝に石などが挟まっていませんか?
残り溝は充分ですか?
冬タイヤの使用限界は、溝が50%摩耗。つまり半分減ったとき。
その半分を知らせてくれるのは「⇑・矢印」マーク。プラットフォームが目印です。
写真の「⇑・矢印」マークが、反対側側面にもあります。
その延長線上だけ、タイヤの接地面がひときわ浅くなった筋があります。
写真のちょうど中央部分。浅くなっているのがお分かりでしょうか。
この筋が、タイヤがすり減って接地面に出てくるようになったら50%摩耗。
つまり「冬タイヤとしての使用限界」なのです。
あとは夏タイヤとして履きつぶしていくことになります。
写真の「△・三角」マークが、反対側側面にもあります。
その延長線上だけ、タイヤの接地面が若干浅くなった筋があります。
浅い筋なので、やや分かりにくいのですが…
冬タイヤにも、夏タイヤ同様ちゃんとこの筋があります。
この筋が、タイヤがすり減って接地面に出てくるようになったら残り溝1.6㎜。
つまり「夏タイヤとしても使用限界」なのです。
写真のタイヤは、完全に使用限界。ここまで使ってはいけない、悪い見本です。
溝に石などが挟まっていませんか?
点検の際、接地面の溝に小石などが挟まっていたら。
タイヤの劣化や、部分的な変形につながります。
細いドライバーなどで取り除いてください。
冬タイヤの「履きつぶし」は慎重に
冬タイヤも性能が上がったとはいえ、3~5年ほどで冬タイヤそのものが硬化して冬の安全性にも影響します。
残り溝が充分でなくなったり、硬化が進んだ冬タイヤ。
これらを夏用タイヤとして使用するのを「履きつぶし」と呼んでいます。
日本の基準では、残り溝が1.6㎜あれば車検は通ります。
履きつぶしの冬タイヤでも同様です。
ただこれは「車検は通る」というだけで、充分安全という訳ではありません。
雨の日の排水性能を考えると、夏タイヤであっても残り溝4㎜程度になったら交換が望ましいとされています。
冬タイヤの履きつぶしとなれば、なおさら。
履きつぶすということは、冬タイヤとしての寿命・プラットフォームまですり減った残り溝5㎜未満のタイヤ。
冬タイヤは、ブレーキを踏んでから止まるまでの「制動距離」が夏タイヤより劣ります。
そのため「履きつぶしタイヤ」を履いて走行すること自体、安全面を考えるとおすすめ出来ないところ。
そこで「冬タイヤとしての限界が来たら、せいぜい次の冬タイヤを履くまでのワンシーズン程度」
そのホイールに、秋が来たら新しい冬タイヤを組むというのはいかがでしょうか。
寿命をのばす方法:タイヤ、ホイールセットを洗ってください
・せっけん水で、ブラシを使ってジャブジャブと。
・その際に、エアーバルブの空気漏れチェックを。
・乾かしたら、物置へ。これだけです。
せっけん水で、ブラシを使ってジャブジャブと
手間ではあるのですが、交換後、物置にしまう前に
「ぜひ一度、タイヤとホイールを洗ってほしいのです」
冬の道路は、凍結防止剤が撒かれます。
成分は塩です。ホイールにもゴムにもいいわけがありません。
錆びるとクルマの車体も穴が開きます。こちらの記事をご覧ください。
その「塩」は、ホイールやタイヤにもいいわけがなく、劣化を進めます。
それを洗い流そうという訳です。
業者さんで交換され、ご自身の物置で保管されるなどで持って帰られた方も。ご自身で交換された方も。
バケツにカーシャンプーを入れてホースの水で泡立てて。カーシャンプーが無ければ、台所洗剤をひと押しでも構いません。
表面も裏面も、ジャブジャブ洗ってください。
その際に、エアーバルブの空気漏れチェックを
エアーバルブというのはホイールについている、ゴムで出来た、空気を入れる部分のパーツです。
バルブそのものが劣化すると、ホイールの付け根から空気が漏れだします。
(写真では車体についてますが、外して洗っているものとお考え下さい。)
ここをチョイチョイと、指で軽く横方向に押して力を加えてあげます。
せっけん液で濡れたバルブの根元から泡が出るようなら、空気漏れ。
バルブを交換の際は、タイヤそのものを、いったんホイールから外さないといけません。
次シーズンにこのタイヤを使うまでの間に、車屋さんやタイヤショップに相談してください。
(出来ることなら、保管中にタイヤの変形を最小限にしたいので早いうちにどうぞ)
乾かしたら、物置へ。これだけです
・空気を少し多めに入れておけば、なお最高です
・乾かしたら、物置へどうぞ。ベストは「寝かせて保管」です
空気を少し多めに入れておけば、なお最高です
保管の際の空気圧は、タイヤ既定の空気量より1割ほど多めがベスト。
これは、保管中の変形を予防する意味合いで「少し張り気味」にしておくというわけです。
自転車やバイク用の空気入れでも「気合があれば、なんとかなります」
写真のような「機械で空気を入れる」ようにすれば、労力は何倍、いや、空気入れに関しては何百倍も楽になります。
日常の点検時にも。空気圧不測のまま車に乗っていると、燃費は格段に低下します。
最悪、タイヤの破裂にもつながりかねません。
体や荷物を乗せて運んでくれる、重い車。支えているのはタイヤですので、月に1回程度は空気圧をチェックしたいところですね。
これがあれば、洗って濡れた水滴を空気で飛ばすこともできます。
洗ったあとの乾きも早くなるし、日常点検も楽になってまさに一石二鳥。本格的なものでなくても、用意していて無駄にはならないでしょう。
乾かしたら、物置へどうぞ。ベストは「寝かせて保管」です。
洗ったら、天日干しでもエアーで吹き飛ばしても何でもいいので、水気を切って乾かしてください。
あとは物置にしまうだけです。
保管方法にも、いろいろ議論されていることがあるのです。縦置きか、横置きか。
私は、保管は「寝かせて保管」横置き派です。
接地面の負荷が局所にかかってしまう縦置きよりも、タイヤの変形を面接触で最低限にして、圧力からも、ホイールが守ってくれる理由です。
いちばん下になる、地面に接する部分だけは石や砂でタイヤを傷めないようご留意を。
ホイールの無い「タイヤだけ」の状況だと「縦置き」をメーカーも推奨していますが、一般家庭ではまず無いことでしょうから。
「洗って乾かし、保管する」このひと手間が、タイヤの寿命を大きく伸ばす秘訣です。
みなさまに参考としていただけたり、疑問解決の一助となりましたら幸いです。
下のリンクから、他の話題もご覧いただけましたらうれしいです。
今後とも北海道移住生活ブログ「なーしぃのひとりごと」をどうぞよろしくお願いいたします。