北海道では、想像を絶するほどの「錆び」が愛車を襲います。
北海道に住むようになり15年。
高校生の時からバイクに乗り始め、自動車整備士として4年ほど勤務した経験もある私です。ほどほどにクルマを含めエンジンの付いたものが好きで、そのメンテナンス方法も心得ているつもりでした。
塩カルで車体が錆びる…そんな話は聞いたことがあったり、雑誌で見た・読んだことがある方も多いのではないでしょうか。
この記事を読んでいただくのは、車やバイクの好きな方かと思います。
その現状を、廃車となった私の車の写真をもとに自虐ネタとしてお伝えします。
車を襲うサビ!さび!錆びるのは、下回りや足もとがメインです
車種はスバル・サンバーディアスバン(TV1型)
新古車で購入しほぼ毎日、片道20キロの通勤や買い出しやレジャーに、夏も冬も通年走行していました。
写真右側がフロント側。完全に錆びて穴が開いている、メインフレームになります。
反対側も同様に錆びてクラックが入り、段差を走るとガリガリと、錆びた面どうしがこすれる音が分かるようになってきていました。
車検ごとに、下回りの防錆皮膜塗装とシャーシブラックを行っていたにも関わらず、こうなってしまいました。
車のサビ・錆びの原因は「凍結防止剤」「融雪剤」いわゆる塩カルです
北海道をはじめ雪国では、冬になると日中に降った雨や雪が道路上で凍り、日中の日差しや走行するクルマから発生するエンジンの熱やタイヤからの摩擦熱などで溶けだします。
蒸発しなかったものが、日暮れ頃からふたたび凍りだすことを繰り返します。
こうなると道路は凍結アイスバーン状態。
どれだけ新しいスタッドレスタイヤを履いていても、年数が経ったタイヤでも、ツルっとくるとあとは運を天に任せるのみ。
日暮れ前ごろから、道路には凍結防止剤や融雪剤を散布するトラックが走り出します。
この凍結防止剤、成分は塩化ナトリウム。融雪剤は塩化カルシウムが主成分。
つまり両方とも「塩」です。総称して「塩カル」と呼ばれ、走行の安全のために用いられますが、車体にとってはなかなかの厄介者です。
国道では道路が白くなるくらいまで撒いていきます。
走るクルマは、溶けた雨や雪混じりの「塩水」を巻き上げることになります。
塩水がマフラーの熱で一気に乾かされ、愛車を塩漬けにします。
跳ねた小石などで出来た小さな傷に浸透し、金属を一気に酸化。見るも無残に錆びさせます。
月に2~3回程度は、コイン洗車場で下回りを洗うようにしていましたがこのような結果に。
私も大阪で自動車整備士として勤務していたころ、何百台と車の下にもぐりましたが、こんなに朽ちたクルマを見た覚えはありませんでした。
「クルマって、こんな痛み方をするものなのか」と衝撃を受けたことを覚えています。
北海道名物・車のサビ、さび、錆。ある程度、補修をして乗れるようにはしてくれます
しかし北国の自動車修理工場さんも心得たものです。
「このくらいで乗り換えてくれたら、北海道は新車だらけさー」なんて言いながら、フレームにL字アングルを溶接するという大技に出ます。そんなに珍しいことではないそうです。
結局このクルマは別の部位も溶接を繰り返し、最後は運転席の足元にも穴が開きました。
ヘッドライトも、片側だけ照度が出なくなりました。
21万キロほどでやむなく廃車としました。北海道スバルのテレビCMのワンカットにも使っていただくなど思い出深い車体で、エンジンは絶好調だったので、大変悔やまれます。
これも別の車体ですが、見るも無惨なフレームです
本州から引っ張ってきた、TWのサンバー。こちらで5年・7万キロ乗りました。
前輪のスプリングを受けるフレーム部分も崩壊し、支えを失ったボディがフレームに乗っかった状態になりました。
フレームに乗っかったボディがこすれて致命傷を追わぬよう、ボディを広げてあいだに水道のゴムホースをはさんでおきました。あと5ヶ月の車検が生きているあいだに、次の車を大急ぎで探します。
北海道の愛車を襲う車のサビ、錆。予防策は、こまめな洗車くらいしか…
この「塩カル」ですが、こまめな洗車くらいしか予防策はありません。
毎日コイン洗車場に行くのも、現実的ではありませんし。
コイン洗車場の帰り、すでに塩で真っ白になることも。どれだけこまめに下回り塗装をしても、錆びの進行は恐ろしく早いです。すき間に入り込んで、中から増殖。
当方も、もとは自動車整備士。決して手を入れていないわけではありません。対策もそれなりにはわかっています。
しかし、錆びの進行が早く、追いつかないのが現状です。
潮風程度なら、こまめな洗車と高価な防錆塗装を施すことで、進行を遅くさせることは可能です。
大切なクルマを錆から守る、いちばんの方法は「冬は乗らない」という選択肢になってしまいます。
北海道をはじめ北国では、ひとり一台所有することが不可欠である、必需品のクルマ。その維持にもなかなか頭を痛めます。こちらの記事もご覧ください。
ある程度、割り切って考えることも必要なのが、北海道のクルマ選びです。こちらの記事もどうぞ。
いかがだったでしょうか。クルマ好きの方には、なかなか衝撃的な写真が多かったのではないかと思います。
バイクのお話ではございますが「バイクの越冬・冬眠事情」も記事にいたしました。興味のある方はこちらもご覧ください。