と、友人によく聞かれます。
北海道生活に興味のある方や、地方移住をお考えの方。
この記事を見ていただいている方は、その疑問解決のために来訪いただいたでしょうか。
先に答えをお話ししますと…
今回の記事は、ファイナンシャルプランナーでもある私が「大阪から道東に移住して15年越え。いろんな『お金』について、北海道に住んでから感じたこと」をお話ししていきます。
「北海道」も、移住地別の生活費が高いか安いかを調べています
このような資料を見つけました。
北海道の総合政策部がまとめた「北海道の移住・定住に関する調査結果」という統計です。
家賃(1LDK)(2LDK)・都市ガス(使用量11㎥)・電気水道(使用量5㎥)・灯油(使用量40L)の4項目を、
北海道の地域別10エリア(空知、石狩、後志、胆振・日高、渡島・檜山、上川・留萌・宗谷、オホーツク、十勝、釧路、根室)に分けて、
地域の実情に合わせた支出額を平均値化したものの公表をしています。
この資料は「北海道の居住エリア別」での生活必需品の4項目の差を出しています。
すべてご紹介すると、大変な文字数となりますので詳細は割愛します。(詳しく知りたい方はリンク先からどうぞ)
要約すると「札幌より遠いところでは、単価が高くなるところが多いですよ」というものでした。
広大な北海道。少ない人口区域への、輸送費コスト上昇や生活インフラ維持にかかる経費負担増などの要因があるのかと思われます。
北海道に移住後の生活費、お給料は、そこそこ減りました
最低賃金は、全国でも下から数えた方が早い北海道
令和6年度に、全国の最低賃金額が改定されました。
厚生労働省HP・地域別最低賃金の全国一覧の資料を出典先として、都道府県別グラフを掲示します。
都道府県名 | 最低賃金時間額【円】 | 引上げ率【%】 | 発効年月日 | |
---|---|---|---|---|
北海道 | 1,010 | (960) | 5.2 | 令和6年10月1日 |
青森 | 953 | (898) | 6.1 | 令和6年10月5日 |
岩手 | (893) | |||
宮城 | 973 | (923) | 5.4 | 令和6年10月1日 |
秋田 | 951 | (897) | 6.0 | 令和6年10月1日 |
山形 | (900) | |||
福島 | 955 | (900) | 6.1 | 令和6年10月5日 |
茨城 | 1,005 | (953) | 5.5 | 令和6年10月1日 |
栃木 | 1,004 | (954) | 5.2 | 令和6年10月1日 |
群馬 | 985 | (935) | 5.4 | 令和6年10月4日 |
埼玉 | 1,078 | (1,028) | 4.9 | 令和6年10月1日 |
千葉 | 1,076 | (1,026) | 4.9 | 令和6年10月1日 |
東京 | 1,163 | (1,113) | 4.5 | 令和6年10月1日 |
神奈川 | 1,162 | (1,112) | 4.5 | 令和6年10月1日 |
新潟 | 985 | (931) | 5.8 | 令和6年10月1日 |
富山 | 998 | (948) | 5.3 | 令和6年10月1日 |
石川 | 984 | (933) | 5.5 | 令和6年10月5日 |
福井 | 984 | (931) | 5.7 | 令和6年10月5日 |
山梨 | 988 | (938) | 5.3 | 令和6年10月1日 |
長野 | 998 | (948) | 5.3 | 令和6年10月1日 |
岐阜 | 1,001 | (950) | 5.4 | 令和6年10月1日 |
静岡 | 1,034 | (984) | 5.1 | 令和6年10月1日 |
愛知 | 1,077 | (1,027) | 4.9 | 令和6年10月1日 |
三重 | 1,023 | (973) | 5.1 | 令和6年10月1日 |
滋賀 | 1,017 | (967) | 5.2 | 令和6年10月1日 |
京都 | 1,058 | (1,008) | 5.0 | 令和6年10月1日 |
大阪 | 1,114 | (1,064) | 4.7 | 令和6年10月1日 |
兵庫 | 1,052 | (1,001) | 5.1 | 令和6年10月1日 |
奈良 | 986 | (936) | 5.3 | 令和6年10月1日 |
和歌山 | 980 | (929) | 5.5 | 令和6年10月1日 |
鳥取 | 957 | (900) | 6.3 | 令和6年10月5日 |
島根 | (904) | |||
岡山 | 982 | (932) | 5.4 | 令和6年10月2日 |
広島 | 1,020 | (970) | 5.2 | 令和6年10月1日 |
山口 | 979 | (928) | 5.5 | 令和6年10月1日 |
徳島 | (896) | |||
香川 | 970 | (918) | 5.7 | 令和6年10月2日 |
愛媛 | (897) | |||
高知 | 952 | (897) | 6.1 | 令和6年10月9日 |
福岡 | 992 | (941) | 5.4 | 令和6年10月5日 |
佐賀 | (900) | |||
長崎 | (898) | |||
熊本 | 952 | (898) | 6.0 | 令和6年10月5日 |
大分 | 954 | (899) | 6.1 | 令和6年10月5日 |
宮崎 | 952 | (897) | 6.1 | 令和6年10月5日 |
鹿児島 | 953 | (897) | 6.2 | 令和6年10月5日 |
沖縄 | 952 | (896) | 6.3 | 令和6年10月9日 |
全国加重平均額 | 1055 | (1,004) | ー |
※括弧書きは、改定前の地域別最低賃金額
未決定の県は空白ですが、答申通りだと全国平均は1055円となるそうです。
最低賃金は、全国平均より低い金額となります。
全国的な数値とはいえ、地域格差を感じますね。
給与水準は、道内でも特に地方は低くなりがち
残念なことに、最低賃金が低く給与(勤めに出ている方の基本給)が相対的に低いのが北海道。
さらに大企業の多い札幌圏より、中小企業がほとんどである地方都市の方が給与水準は低いです。
厚生労働省・令和3年賃金構造基本統計調査を出典先とした資料では、北海道の「賃金」が全国加重平均の307万4千円を下回る274万8千円。全国28位でした。
「賃金」 本概況に用いている「賃金」は、6月分の所定内給与額の平均をいう。
「所定内給与額」とは、労働契約等であらかじめ定められている支給条件、算定方法により6月分として支給された現金給与額(きまって支給する現金給与額)のうち、超過労働給与額(①時間外勤務手当、②深夜勤務手当、③休日出勤手当、④宿日直手当、⑤交替手当として支給される給与をいう。)を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額をいう。※出典先資料から
都道府県 | 平均賃金 | |
---|---|---|
1位 | 東京都 | 364.2万円 |
2位 | 神奈川県 | 336.2万円 |
3位 | 大阪府 | 326.9万円 |
4位 | 愛知県 | 317.3万円 |
5位 | 京都府 | 312.2万円 |
28位 | 北海道 | 274.8万円 |
退職直前にもらっていた年収は、移住する15年ほど前に大阪で勤務をはじめた頃の基本給ベースの年収と大きく変わりませんでした。(同一労働同一賃金ではありませんので、一概に横並びでのお話にはならないですが)
公務員といえど給与水準の低さは、昇給を経てようやく15年前に追いついた感じでしたね。
※北海道特有としてよく聞く「寒冷地手当」ってどんなもの?
皆さんの中にも「北海道の人は、暖房の燃料代が別にもらえるらしいね」と聞いたことのある方が居られるのではないでしょうか。
実はこの寒冷地手当、「国家公務員の寒冷地手当に関する法律」というもので決まっているものだったのです。e-Gov法令検索より出典します。
地域の区分
|
世帯等の区分
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||
世帯主である職員
|
その他の職員
|
||
扶養親族のある職員
|
その他の世帯主である職員
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一級地
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26380円
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14580円
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10340円
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二級地
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23360円
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13060円
|
8800円
|
三級地
|
22540円
|
12860円
|
8600円
|
四級地
|
17800円
|
10200円
|
7360円
|
地域区分は1~3級地というのは北海道をさらに区分しているのですが、四級地は本州の定められた自治体でした。
国家公務員給料に準じた道職員・市町村職員の給料に反映させたり、民間企業がこれらを例に福利厚生の一環として設けているのが、寒冷地手当ということです。ちょっとした臨時ボーナスといった感覚でしょうか。
企業側からすると「必ず出さないといけないもの」ではないということです。
(10月~翌年3月までの間に分けて、およそ15万円ほど支給されることが多いようですが、最近ではでは廃止にする企業も多いと聞きます。)
私はいただける企業に属しているサラリーマンですので、あてにしてしまいます。
特に灯油代は、家計の大きなウェイトを占めます。その理由は、こちらの記事をどうぞ。
ここまでは、根拠となる数値をお示ししました。
ここからは、この数値をもとに「生活費は決して安くはない」その理由をお示ししていきます。
北海道に移住後の生活費、特に電気・ガスは「消費量が増える」ため高くなります
電気・ガスは特に冬場は高くなりがち。
昨今のエネルギー価格上昇で、この記事を書いている2023.2現在は新エネルギー会社を含め各社高止まりの状況。地域差はなくなってきています。
電力は、北海道だけがとびぬけて高い価格というわけではないということです。
経済産業省資源エネルギー庁「都道府県別エネルギー消費統計」 2016年度確定値によると、北海道の電力消費量【家庭部門】は全国6番目。
冬場は寒く、暖を取るエネルギーは多く使う傾向にあります。そのため電力消費量が増え、電気代が高くなるという構図でしょう。
ガスは一部の市街地(主な供給エリア・札幌市、小樽市、函館市、北見市、千歳市、北広島市、石狩市、北斗市の一部)を除いて、基本的にはプロパンガスです。
供給エリア一覧
エリア ガスの種類 札幌地区 札幌市、石狩市の一部、北広島市の一部 13A
(LPG供給地区もあります。お問い合せください。)小樽地区 小樽市 13A 千歳地区 千歳市、恵庭市の一部 13A 函館地区 函館市、北斗市の一部 13A
(LPG供給地区もあります。お問い合せください。)北見地区 北見市 13A
そこに地方への輸送費などが加算され、結局割高となっていきます。
暖房は、まだまだ灯油ストーブがメイン。値上げしても減らせない。
家庭で使う暖房は、電気や中には薪ストーブを使う方もありますが、まだまだ灯油がエネルギーのストーブがメインです。
冬場はマイナス15度、内陸地ではマイナス20度を超えて冷え込むことも珍しくありません。無いと困ります。家じゅう冷え込むし、水道だけではなく、ありとあらゆるものが凍ります。こちらの記事もご参照ください。
「北海道の家は、冬でも冷えたビールやアイスがおいしく半袖で過ごす」という定説がありますが、これは事実です。
灯油代も数年で2~3割ほど値上がりしています。湯を沸かすボイラーも灯油を使うことも避けられないため、なかなか厳しいですね。
そんな我が家は「内地の人間仕様」。
ご近所さんが来られるときは「○〇さん家は、寒くて風邪をひく」と苦笑いするので、温度をあげています。
水道料金に関しては、市町村によって差があります
何と都道府県別の水道基本料金、北海道はワースト1だそうです。(1412円/月)
最安の都道府県は千葉県(407円)その差3.5倍ほどありますね。
「移住したい」様HPより出典したデータなのですが、広い北海道のインフラ整備にかかる費用や人口密度、水源の水利権や大口需要の有無などが要因にあるようです。
これらは「都道府県別」の平均。上川地方・東川町のように「(全域で地下水を利用しているため)上水道代が無料の町」があれば、日本一水道料金の高い夕張市のように格差があります。
私の住む根室管内・別海町。水源は摩周湖の支流にあり「摩周湖の伏流水」なんて触れ込みです。(消毒とかそのあたりは法律にあるようですので、そのまま飲んでいるわけではありません)たいへんおいしく、夏でも手がかじかむくらいに冷たいです。
大阪出身、水道水の塩素臭に慣れていた私。この町に移り住んで、初めて水道水を飲んだ感想は「蛇口をひねると、ミネラルウォーターが出てくる」と驚いたものです。
北海道の生活費。賃貸住宅は、総じて家賃がお高め。
地方都市は賃貸住宅も空き部屋が目立ち、かなりお安い物件も見られます。
しかし「もっと地方の、へき地レベル」になると、賃貸住宅そのものが、もともとありません。
別海町は、不動産屋もない過疎地です。そんな土地ですので、賃貸住宅を探す方は、社宅の無い企業の転勤族の方くらい。
こういった土地では、たまに出てくる賃貸住宅や賃貸アパートが「ずいぶん強気だなあ」という家賃設定で出てきます。
その間取りなら、札幌のほうが安いんじゃないの?という、まさに『需要と供給』の関係です。
空き家はたくさんあります。高齢の方が住まなくなり、手放すわけでもなくそのまま荒廃していく住宅が。
賃貸なり分譲なり流通する仕組みが整えば、地方に移住を希望する方々が「住むところを探す」ハードルが下がるように感じるのですけどね。
北海道の生活費、野菜も肉も魚もすべてが安いわけでもないため、影響を受けます
食料自給率が日本一の北海道。
その食べ物の「旬」の季節になると、大変格安で鮮度は抜群のものが店舗に並びます。
おすそ分けをいただけると、スケールもデカい。
ごみ袋に突っ込まれた、数十分前に収穫されたばかりの野菜たち。
値段こそ上がりましたが、サンマ水揚日本一の花咲港のある道東・根室がとなり町。毎年立派な食材が普段使いで手に入ります。
ですが、これは「旬」の食べ物。年中食べられるわけではなく、シーズンオフは本州・九州などから食材が集まってきます。
フードマイレージと呼ばれる「食料の輸送距離」を考えたとき、日本の端に位置するのが北海道。
(旬の時期に道民は鮮度抜群の物を食べていますので、オフシーズンの食材との差はとても感じてしまいます)
「送料」が高くつくため、北海道での生活費に影響しやすくなります
先に述べたように、北海道までは「送料」が大きな要素になります。
例えば、サンマを送ろうと思うと…
サンマ自体は大きな金額でなくとも、送料が大きな負担に。関西に120サイズの発泡スチロール容器一つを送ろうとすると、2500円から3000円程度かかります。
他にも、ネットショッピングで物を買うにしても「北海道への送料は別料金」というところも多く、何だか悔しい思いをすることも多いです。
日数もかかります。詳しくはこちらの記事もどうぞ。
主な交通手段は「ひとり1台必要の自家用車」そのため、北海道では生活費に、大きな影響を受けます
北海道はご存じかと思いますが、交通インフラがたいへん脆弱です。
都会では電車やバスで生活もできるし、その方が便利だったりすることでしょう。
ですが、北海道では車が無いと生活できないといっても、過言ではありません。こちらの記事もご覧ください。
もちろん、走った分だけガソリンは減ります。維持となるとタイヤも減るし、オイルも換えなければなりません。車検費用も保険料も税金も。いろいろ費用もかかります。
本州のように、自宅や店舗での駐車場にお金はかかりません。
空港の駐車場すら、「根室中標津空港」は何時間でも何日でも無料ですから。
詳しくは、こちらの記事をどうぞ。
答えは「生活費、何かと高くつく」のが北海道です
合理的な生活と言われると、都会に軍配が上がります。
電車やバス利用で、短時間で安く移動が出来ます。ニーズや競争もあるので、物の価格も平均的。むしろお安いことも。
家賃は高いかもしれませんが、その分賃金も高い企業や産業も多い。
地方暮らしは、移動距離も長くなりがち。よって、時間もかかります。
同じ品物(私の趣味の車、バイク用品など)も需要と供給の関係、輸送費などを考えると都会の方が安く手に入ることが多いです。地方がお高めなのは否めません。
北海道生活では冬季の生活に備えるための装備、道具も増えます。車も必需品です。
しかし、比べたいのが北海道で暮らす「生活の質・充実度」
過去にクレジットカード会社のCMで「その価値、プライスレス」という言葉が流行しました。
私にとって、道東移住生活は「プライスレス・お金では買えないほどの価値」を感じています。
満員電車もありません。渋滞もありません。混雑もありません。
私の住む集落には、16時に閉店する小さな商店のみ。コンビニがありません。
「無いなら無いなりの生活」何も困りません。
隣の家まで何百メートル?という農村地帯にも、光ファイバー網が入りました。
こちらさん、たまに出てきます。
近年は夏もちゃんと暑いですが、夜には窓を閉めて寝ないと寒い朝を迎えます。
花粉症?あまり聞かない言葉です。
数十年いや、数年のうちに本州では「夏の最高気温が40度」が珍しくなくなるとか。
北海道も雪の量が減っています。私が住むようになってからだけでも、年間の除雪回数が明らかに減りました。北海道の中でも道東は、雪の少ない地域です。
これから数年後、数十年後に北海道の冬の寒さも緩むとしたら。
将来を見据えた生活の場として、選択肢の一つになるのではないでしょうか。
金銭面だけで言うと、都会暮らしの方が豊かな生活がおくれます。
少なくとも私は、北海道に移住してQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)は格段に向上しました。
このような生き方もいいのかも、と共感いただけると嬉しいです。
私は、北海道が大好きになって移住を意識するようになった方や検討されている方から、実際に移住を始めた方までが有意義に感じてもらえるよう、大阪から北海道に移住し15年の実生活をもとにしたブログ記事を書いています。
詳しい暮らしの概要は都度記事をアップしておりますので、下のリンクから他の記事もどうぞご覧ください。
今後とも北海道移住ブログ「なーしぃのひとりごと」をどうぞよろしくお願いいたします。