内地から車やバイクを持ってこられた方、本州から車両を購入された方。
北海道に移住をされて、初めて迎える越冬という方も居られるかもしれません。
そんな皆様へ。
冬を迎えるまでに、整えてほしい愛車のメンテナンスがあります。
冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)への交換はもちろんなのですが、
「冷却液(クーラント液)の交換」が本当に必須なのです!

繰り返しますが、本当に必須です!
やらなきゃ愛車を壊してしまう羽目に…
北海道移住15年目の視点で、そして元自動車整備士の視点でもお伝えします。
どうぞ最後まで、どうぞよろしくお願いいたします。
高温になるエンジンを冷やす「冷却液」なのです
車もバイクも、大きくても小さくてもエンジンで走るものだと熱を持ちます。
バイクに乗る方だと分かりますが、走行直後はとても素手で触れないくらい熱いのです。
その熱を逃がすため、エンジンの内部にはクーラント液やLLCと呼ばれる「冷却液」の通り道があり、そこをぐるぐる循環する冷却液がエンジンの熱を逃がしています。
その冷却液自体は、走る車・バイクが受ける風や、冷却装置のファンによって冷やされているのです。
ほとんどの車・バイクに使われています
今、日本を走っている車・バイクのほとんどはこの仕組みでエンジンを冷やしています。
昔は走行する風だけで冷やす仕組みの「空冷」というエンジンの車もありました。
しかし、日本でも40度近く気温の上がる日が珍しくなくなり、エアコン等を備えることが標準となった車の世界では、ほとんど見かけません。「水冷」と呼ばれるエンジンが主流です。
バイクの世界では、今も空冷エンジンが残っています。車と違いエンジンが外部に直接触れていますので、冷却も足りるのでしょう。
北海道と内地では、求められる濃度が違うのです
この冷却液という存在。「不凍液」とも呼ばれており、凍らない液なのです。
寒い地域では、トイレのタンクに入れて夜の凍結を防止するという役割のものもあります。

もちろん「ただの水」では氷点下の気温で凍るわけですが、主成分がエチレングリコールという「科学的な液体」です。赤や緑、青など着色されています。
この冷却液。原液100%で用いるのではなく、水道水と混合することで寒さでの凍結温度を変化させることが出来るのです。
この「濃度」が大変重要なのです。
内地で用いられる濃さでは、北海道では凍り付いてしまう危険性があります
おおよそですが、関東より南で走っている車は、マイナス10度を超える環境に行くことはほぼないでしょう。
ウィンタースポーツの趣味の方も、そこまで気温の下がるところに行く方でしたら、もう少し余裕を持っておられるかもしれませんね。
ですが厳冬期の北海道では、マイナス30度になることは少なくなりましたが、内陸ではマイナス20度は珍しくありません。朝起きると、家の窓も結露が凍るくらいですから。

このくらいまで気温が下がると、内地で整備された車の中には、北海道で求められる冷却液の濃度が足りていない可能性があるのです。凍ってしまうのです。
この冷却液、経年劣化で濃度の低下や冷却効率が落ちたりするので「交換した覚えがないなあ…」「車検で交換はしていると思うのだけど…」という方。要注意ですよ。
車検ごとに交換していても、その濃度は分からないもの。
(車ごとに原液冷却液が必要な量や、元々入っていた冷却液の抜け具合が整備士の技量で違ったりすることがあります)
また、車検ごとに換える必要も無かったりしますので、交換していないことがあっても不思議ではありません。
(10万キロ持ちます、というスーパーロングライフクーラントというものがあるのです)
最悪、エンジンが割れて一発廃車に
さて、この冷却液。
管理が不十分で凍ってしまうと、どうなるか。
水は凍ると膨張します。そのため、エンジンの中で凍ってしまうと、
・逃げ道の無くなった水がパッキンを破損させてエンジンの内部に入っていったり(これは修理に数十万円クラス)
・最悪の場合、エンジンを割ることも。(こうなったらエンジン冷却系統全部交換。事実上、廃車することがほとんど)
最悪の事態に至らなくても、かなりのダメージを負うことは必至です。

そうなる前に、冷却液の交換を
ですので、こうなることを未然に防ぐために冷却液交換を。
馴染みの車屋さんがあればそこで「内地から持ってきた車で…」とだけ話せば、すぐ事情は分かってくれるはずです。
無ければ、これを機にぜひ近くの修理工場へどうぞ。車が必需品の北海道においては、何かと世話になることが多くなるので、関係性を持っておくことは大事なように感じます。

親切な車屋さんだと、濃度を測るチェッカーというもので調べてくれます。
液の比重を測るだけなので5秒もあれば終わりますが、私なら安心料も含めていっそ交換してしまいますね。
車種にもよりますが、そんなに重整備の部類ではありませんので気軽に引き受けてくれますよ。
費用は大きい車だと冷却液の原液を使う量も増えますが、せいぜい数千円から、高くても1万円を少し超える程度。工賃を含めても交換だけで数万円掛かるとかは無いでしょう。
時間も、作業が始まってしまえば数時間という感じでしょうか。
冷却液濃度って、結局何%くらいなの?
ご自身でLLC液を交換する、というDIY派の方に。
濃度の説明ですが「これが一概に言えないのです」
あいまいで申し訳ありません。「購入されるLLCによって、微妙に違う」のです。
クーラント液を購入前に「ご自身の車に、クーラント液が何リットル必要か」をお調べください。
ここまで好きな方なら、サービスマニュアルを参照で。ネットからでも分かるかもしれません。
さらにここから「クーラント液」をご購入いただくのですが、ここにポイントが。
・LLC液の色 (何種類かあります。)
・LLC液の濃度 (原液そのものや、最初から調整されたものがあります)
・LLC液の色
【主にトヨタ、ダイハツ系】に用いられる赤
【主に日産、スズキ系】に用いられる緑
【どちらにも属しない】青(サードパーティの、スーパーLLCや補充液で見ることがあります)
の3種類がほとんどです。どの色も混ざっても問題は無いとされ、例えばトヨタ車に緑が入っていても問題ありません。
青いクーラントもあるのですが、ウィンドウォッシャー液と紛らわしいためご注意を。

・LLC液の濃度
使用する環境(温度)に合わせて、凍結温度が変わります。
購入されたLLC液のパッケージに書かれた「いちばん凍結しにくくなる温度」に水道水で割って用いてください。
原液を購入の方でしたら、45~50%程度がいちばん凍結温度が低くなっているのではないでしょうか。
品物によっては「防錆剤」などのものが入り、LLCが最初から薄まっているものがあります。ご注意ください。
「そのままクーラント」といって、最初から凍結温度が低く水で割って精製されたLLC液が売られています。これをご自身の車へ必要量分と、リザーバータンクを満たせる量を買うのが一番間違いないでしょう。
※「そのままクーラント」を購入され、原液と勘違いして「水で半分に割って50%液」なんて使い方をすると、冬の北海道では凍結しエンジンを割ってしまうことにつながります。くれぐれもご注意を!
DIYでの交換は、洗浄のためシリンダーブロックやラジエターコアに水道ホースで送った水道水がどうしても残ってしまいます。その分、クーラント液が薄まることを考慮した濃度のものを準備してください。
クーラント交換方法については、車種によって違ってきます。専門サイトでご確認ください。

他にも、車体のさび止めはぜひ行ってくださいね。
錆びて大切な車がこうなってしまう、の記事もこちらにございます。どうぞご覧ください。

今回も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
みなさまに参考としていただけたり、疑問解決の一助となりましたら幸いです。
ふだん私は、北海道が大好きになって、「いつかは北海道、道東に住んでみたいな…」と思われた方が有意義に感じてもらえるようなブログ記事を書いています。下のリンクから、他の話題もご覧いただけましたらうれしいです。
今後とも北海道移住ブログ「なーしぃのひとりごと」をどうぞよろしくお願いいたします。