北海道に住むようになると、冬に「やってしまったー!」ということが起こります。
それは「凍結」
冬場はマイナスの気温になるのが当たり前の北海道です。
昼間は冷蔵庫の中で、夜から早朝にかけては冷凍庫の中で暮らしているようなもの。
そうなると道路の水たまりだけではなく、いろんなものが凍ってしまいます。しばれちゃいます。
その中でも特に、日々の生活に直結する必需品の凍結は、何としても避けたいものですね。
5つの凍結について書きました。
私は大阪出身で、これらが凍る気温の中で生活することはありませんでした。滑って転んだ記憶もありません。(今では年に1回は転んでいます。)
北海道・道東に移り住んで15年。いろんな失敗もあり、1から4の項目は自分でもやっちゃいました。
そのため、同じミスをして困る人がいないように、まさに自分への戒めのように記事を書きました。私の失敗談と手軽に回避できるその方法、どうぞ最後まで御覧ください。
水道の凍結、まさに生活必需品・ライフライン
外の気温がマイナス10度くらいまで下がることが予想される日、テレビを見ていると「今日は気温が下がります。水道の凍結にご注意を」という字幕スーパーが出る日もあります。
外気温がマイナス4度を超えて下がると、水道管凍結の危険がグッと増すそうです。
他にも札幌市水道局によると「就寝前や旅行時など、長時間水道を使わない場合」や、「真冬日」(1日中、外気温が氷点下の日)が続いたとき」にもそのリスクは上がるとされています。
…そうなんです。我が家も現在の家に引っ越して15年、昨年初めて凍結させてしまいました。
これまで凍結しなかったし、ノーマークだったのです。翌朝の最低気温はマイナス15度。道東ではそこまで珍しい気温ではありません。
特に対策らしいことはせず、変わったことといえばその日は所用で一家全員早起きで、翌日は休みでしたので、全員で22時ごろに就寝する「早寝遅起き」でした。
翌朝6時すぎに起床した妻が「水が出ないよ?」というのです。
確かに家中の水道から水が出ません。ボイラーの温水タンクに残っていた水だけが出ます。
就寝中の8時間程度、水道を使うことがなかったために地中の水道管の中で凍結してしまったようです。いやあ、参りました。
地中管を凍らせてしまうとバーナーで温めたり(我が家は古い家なので鉄管ですが、塩ビ管だと管も溶かしてしまいますので絶対禁忌です!)ドライヤーで温めるくらいでは歯が立つわけもなく、日中も氷点下ですので、気温上昇による解氷も期待できません。
設備屋さんに来てもらい、解氷作業は専用器具を用いてわずか数秒。出張料4000円。あいたたた…
「今日は忙しいよー」と、設備屋さんはすぐ次の出張先に行かれました。
各家庭の設備状況にもよりますが、寒冷地の家庭水道は5時間程度だと凍らないように出来ているそうです。「その間に、誰か1回でもトイレ行ってたら水使うから、まず大丈夫だよ」と設備屋さんは話されました。
ですが、間違いない対処法は「水を落とす」作業を行うのが絶対的。
この作業は「水落とし」や「水抜き」と呼ばれます。
寒冷地の水道管には形は違いますが「水栓バルブ」「水落し栓」が必ずついていますので、それを操作して夜に就寝またはお出掛けするというのが間違いない方法です。
栓を開放すると家庭の蛇口から水が出なくなるので、蛇口を開放しておけば残った水滴も凍結しません。そしてまた元に戻す時は、この水栓をもとに戻せば水が出てくるという仕組みです。(詳しい方法は、先に紹介した札幌市水道局のHPをごらんください)
温水ボイラーの凍結。これも生活に欠かせない必需品
台所や洗面所、お風呂まで幅広く使われている「温水ボイラー」(以下、ボイラーとします)。
こちらにも凍結の注意が必要です。
こちらは室内にあることが多く、どれほど寒くても凍結してしまうことは少ないのです。
大きく気温が下がる冬場は、常に電源を入れて最低限の保温をしておけば凍結の危険はまずありません。
ですが「長期で家を留守にする」などがあれば要注意です。
さすがに暖房やボイラーを付けっぱなしで留守にするのは、火の始末も心配です。
(多いですけどね。数日なら暖房もボイラーも付けっぱなしという家庭が。)
暖房やボイラーの電源を落として留守にした際、天気の悪い日が続くと太陽の温かさも入らず、家じゅうが冷え切ります。そうなると温度低下で、ボイラーの中の水が凍結してしまう可能性があるのです。
そのため「ボイラーの中の水落とし」が必要となります。
方法はさほど難しくなく、先にお話しした「水栓バルブでの水落とし」を行った後に、ボイラーの電源を落としてコンセントを抜いた後、ボイラーの水抜きバルブから水を抜くだけです。
ここで注意してほしいのが、ボイラーの機種によって、数か所の水抜きが必要となります。
私が凍結させてしまったのは、小さな水抜きバルブの開放忘れ。
写真右奥に写るオレンジのバルブと、手前の黒い小さなバルブ、お分かりになるでしょうか。
このタイプのボイラーは、両方の水抜きが必要です。(必要でした…)
オレンジのバルブは、温水タンクからのドレンなので結構な量が出てきます。
黒い方は、風呂の追い炊きに使う「呼び水」の役割。量としては100mlくらいでした。
私はこの黒い小さなバルブの水抜きを怠って、そのまま年末に5日ほど帰省しました。
帰って電源を入れ、風呂のお湯を貯めるのは温水タンクからなので何の問題も無し。
悲劇はそのあとで、風呂の追い炊きをするとボイラーの置いてある床にジャバジャバと水が…
ポンプ内に残っていた水が凍結し膨張し、部品を割ってしまっていたのです。
年始の休み明けを待って設備屋さんに来てもらい、部品が届くまで追い炊きの出来ない風呂で10日ほど。部品だと作業料で2万円ちょい。いたたたた…
私のようにならないよう、どうぞご注意ください。
トイレのタンク凍結。なくてはならない生活必需品
これはなかなか凍ることが少ないのですが、トイレのタンクです。
さすがに1日使わない程度で凍ることはないですが、2泊して帰ってきたら、流せなかったのです。
流すのレバーを倒…せなくなっていて、水も流せませんでした。固くてレバーが動かせないのです。流せないので、手も洗えず。
タンクのふたをずらして中を見てみると、タンクの中の水が、シャーベットのようになっていました。
日の当たらない北側の部屋に多い、トイレ。数日流すことが無いと、タンクの水も凍るようです。
陶器で出来ているタンクですので完全に凍結しても、すき間があるのでタンクが割れるということは無いと思います。
しかしタンクの中には、多くのプラスチックやゴムで出来ている部品が用いられているため、凍結でこれらの部品が痛むことは必須。凍結をきっかけに水漏れや、水が止まらなくなるトラブルの原因にもなりかねません。
そこで、お出かけ前にタンクに入れておきたいのが
「車のウィンドウォッシャー液」なのです!
もちろん、こんな大きなものを用意する必要はありません。私は車も所有していますので、共用するならと思って買いました。(使い終わりに、キャンプの水タンクにも出来るなと思ってケチな考えです…)
このウォッシャー液、成分は40%程度のメタノール(メチルアルコール)と界面活性剤、そして水です。大量に飲むと有毒ですが、さすがにそんな方はいないでしょう。
これを留守にする前、水道の水落としを行ってトイレタンクへも水の供給がなくなった後、まずタンク内の水位を確認ください。
タンクのふたになっている、手洗いの部分を少しずらせば中が見えます。手洗いの無いタイプだと、そのままふたになっているだけかと思います。
その後1.2回トイレの水を流し、タンク内に余裕が出来たところにウォッシャー液を入れます。量は流す前に水位を確認したところまで。
半分ほど残っていた水で薄まっても、問題ありません。ウォッシャー液は原液だとマイナス30度程度まで凍りません。
タンクに残った水で半分に薄まってもマイナス5度からマイナス10度くらいまで凍らない濃度であれば、さすがにそこまで室内のトイレの温度が下がることは考えにくいですからね。
環境への被害も、全くとは言いませんがゼロに近いです。普段車で使っているくらいですから。
普通にホームセンターやドラッグストア、北海道ではコンビニでもウォッシャー液が売られています。写真の右側の2リットルサイズのものがあれば、十分な量です。値段も300円するかしないか。これで問題ないでしょう。
もしも凍結させちゃったら、トイレ自体をヒーターなどで暖めて溶けるのを待つ(その間はペットボトルやバケツなどで水を流す)か、ぬるま湯をタンク内に入れて、溶けるのを期待しましょう。
ここで焦って熱湯を入れると、温度差で陶器製のタンクが割れてしまったら…大損害ですので「ゆっくり時間をかけて対処する」に努めてください。
あと、車用の不凍液を用いることも考えたことがありますが、これは環境にやさしくありません。エチレングリコールという、科学薬品です。下水に流してはいけないシロモノ。これはやめておきましょう。
写真の右側が、車用の不凍液。これはやっぱり「車専用」と考えた方が無難です。
冬になると「家庭用不凍液」なるものがホームセンターで売られるようになりますが、成分は「ウォッシャー液より、ほんのちょっと濃度が高いだけのメタノール」でした。それでいて、値段はウォッシャー液の3倍くらい。
専用と書けば、売れてしまう恐ろしさですね。
ふつうは凍らない、車のウォッシャー液の凍結。車社会の北海道では生活必需品です
「トイレの凍結に用いるのがウォッシャー液なのに、その液の凍結って何?」
もちろん、理由があります。
車のウォッシャー液。そのタンク内に満たしている液自体の濃度低下によって、凍らせてしまうことがあるのです。
はい!やってしまったことがあります!
夏の間に減ってしまったウォッシャー液。出先でついペットボトルに汲んだ水を入れて急場をしのいでそのまま…
後はご想像の通りです。冬、そのまま薄まったウォッシャー液が凍ってしまうのです。
こうなると、エンジンの熱で溶けてくれたらラッキー。ですが凍結するくらいの気温ですので、一旦凍るとそう簡単には溶けてくれません。私はそのまま春までしのぎました。
冬場、頻繁にウォッシャー液は用います。雪が溶けて、びちゃびちゃの泥水が車にかかります。窓についた霜を、ウォッシャー液で溶かしながらワイパーでガシガシ擦る方も多く見かけます。
他にも、車検時にウォッシャー液が出ないと検査は通してくれません。
冬時期に車検を迎える車ですと、要らぬ面倒な作業が増えてしまいます。
凍結が考えられる時期になりましたら、どうぞウォッシャー液の濃度を濃いもの(売っている原液そのまま)に補充しなおしてください。
ウォッシャー液を入れる場所は、どの車もエンジンルーム内に写真のような「窓を洗う水が出ている」絵の蓋があります。その蓋の色は、青だったり黄色だったり黒だったりしますが、この絵はほぼ共通のようです。
この蓋をあけて、先の項目で紹介したウォッシャー液を入れてあげてください。
車の冷却液(LLC)の凍結。車が使えなくなると、北海道では生活に直結する大問題です
特に内地から(転居や購入などで)持ってきて、初めて北海道冬を越す車・バイクが要注意です。
車やバイクの冷却液も、濃度次第で凍結してしまう可能性が。
内地の車は、そこまで気温が下がることが無いため、コストダウンのため濃度が薄くされていることがあるのです。
そこにマイナス30度近く冷えることのある北海道に、そのままの状態でクルマを持ってくると、凍結によって冷却系統やエンジンに重大なダメージを負わせてしまうという訳です。
最悪、廃車に…
とんでもない損害になるので、ぜひ車屋さんで交換のご相談をおすすめします。
これについては、こちらの別記事で詳しく書かせていただいています。どうぞお読みください。
ふだん私は、北海道が大好きになって、「いつかは北海道、道東に住んでみたいな…」と思われた方が有意義に感じてもらえるようなブログ記事を書いています。
冬の暮らしだけでなく、詳しい暮らしの概要は都度記事をアップしてまいります。下のリンクから、他の記事もご覧いただけましたらうれしいです。
今後とも北海道移住ブログ「なーしぃのひとりごと」をどうぞよろしくお願いいたします。